2018.4.22 日本とは異なる商習慣 【ニューヨーク 眺めのいい部屋売ります】
ニューヨーク 眺めのいい部屋売ります [ モーガン・フリーマン ]
評価:3
■ヒトコト感想
ブルックリンに住む老夫婦のアレックスとルース。エレベータのない最上階への上り下りの大変さからマンションを売ることに。家を売るためのドタバタが描かれている。まず一番驚いたのは、アメリカの家を売る方式だ。エージェントが間にいるが、基本は売主と買主の交渉にある。今まさに住んでいる場所に内見にくる。
売主がどのような生活をしているかまではっきりわかる。しまいには、入札額を記入した手紙と共に家を欲しいという熱意を手紙にしたためる。アメリカに比べると日本は非常にドライだ。売主に余計な負担がかからないと言う意味ではよい。どれくらい高い値段で売れるか、値段を吊り上げながらの交渉というのは神経を使う作業だ。
■ストーリー
画家の夫アレックスと元教師の妻ルースが暮らすのは、ニューヨークで最も注目されているエリア、ブルックリン。最上階の二人の部屋は美しい街を一望でき、日当たりも抜群。センスの良い家具に囲まれた申し分のないこの家で、愛犬ドロシーを交えた家庭生活は順風満帆! しかしただひとつの欠点は、結婚40年を過ぎた二人にとってエレベーターの無い最上階までの道のりがつらく感じられることだ。
ある日ルースは、愛する夫と愛犬のためにこの“眺めのいい部屋"を売ることを決意した。戸惑うアレックスをよそに、姪っ子の敏腕不動産エージェントによって億の値で売りに出されることがあっという間に決まり、オープンハウスの手筈が整うが…。
■感想
老夫婦がブルックリンの家を売ろうとする。眺めが良い最高の部屋を、エレベータがないからと売ることを決意する。日本と感覚が違うのは、古いマンションでも条件が良ければ高値で売れるということだ。家を売るためにオープンハウスとして買いたい者たちに家を見せる。
このあたりは非常に特殊なように感じられた。家の売買は非常に大きな出来事だ。家を見た瞬間に気に入ったからと、その日のうちの自分の入札額を相手に伝えたりもする。ここまで激しい動きをするとは、アメリカらしいと感じた。
アレックスとルースは自分の家を売りにだすと共に、エレベータ付きの家を買おうとする。そこでは、逆にアレックスたちが他人の家を見て回ることになる。自分の家を売り、その金で新たな家を買う。合理的といえばそうだが…。
アレックスとルースは自分たちが新婚を過ごした思い出の家を売ることになる。となると、その当時の思い出がフラッシュバックする。若い二人が希望に満ち溢れて家を買う。精一杯背伸びをした家だが、それはのちの幸せに繋がる。アレックスとルースに子供がいないというのも大きなポイントなのだろう。
家を売るだとか買うというのは人生の一大イベントだ。決断をするのは、それなりに神経を使う。ある程度、話が決まりかけた時、アレックスがひとつの決断をする。ニューヨークでテロ騒ぎがあるというのが序盤から描かれており、そのことが家の売り買いに影響するという描写もある。
が、最後にアレックスの決断にこれほど多くの影響を与える流れになるとは思わなかった。場所と人気エリア、黒人と白人の夫婦、様々な要因があり本作は成立している。ニューヨークのど真ん中で家を売り買いするというのは、相当に大変なのだろう。
日本とは異なる商習慣には、驚かずにはいられない。
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